2010年05月11日

532)ビニールハウスの怪

 このブログ、たまには実益のあることを、書かないといけません。
 今回は、それをねらいます!

 この20年近く、3月半ばから4月いっぱい、私は日本にいたことがありません。
 自宅の庭で、小さな菜園をやっています。
 なかには、4月のうちに、苗づくりしたいものがあります。
 そのために、何年かまえ、ホームセンターで、「ビニール温室」を買いました。
 といっても、本格的なものではありません。
 細い鉄製パイプを、自分で組み立て、成型されたビニールをかぶせて、完成!
 15分もあれば、簡単に組み立てられます。


 天気のいい日、このなかは熱すぎるくらい、温度があがります。
 目的は、それではありません。
 夜間、とりわけ未明の、最低気温が記録されるあたりで、
 温度が下がらないで、ほしいのです。
 そのために、役立ってくれるものと、私は信じていました。

 5月2日の早朝、このビニール温室のなかの気温は3℃でした。
 あとで気づいたのですが、新聞によると、その日の大阪の最低気温は13℃。
 私が住んでいるあたりは、もっと低いのでしょうけど、
 でも、差がありすぎます。
 ビニール温室のなかが、外より、寒い!
 残念なことに、私はそのときの外気の温度をはかっていません。

 5月4日の夜から、翌朝にかけて、それを調べました。
 この日も、晴天でした。
 5月4日   外気の温度  温室内
 17時00分   21℃    22℃
 18時30分   19℃    18℃
 21時25分   19℃    14℃
 5月5日
 03時30分   14℃    10℃
 05時00分   12.5℃    9℃
 06時00分   13℃    11℃
 06時40分   17℃   16.5℃

 測った時刻は気ままなものです。
 目が覚めたとき。
 気温も、小数点1ケタまで読むべきでしょうけど、
 懐中電灯の光で、老眼にはつらいので、大雑把にいきました。

 なんと、最大5℃も、温室内のほうが低いのです。
 最低気温(に近いところ)では、3.5℃ほど開きがあります。
 温度を保つという、私の目的からすれば、完全に逆効果!

 この時期は、日中は温度があがりすぎるので、入口のところを開いています。
 そして夕刻以降は、閉じていました。
 たいていの人が、そうしているのではないでしょうか。
 でも、それはまちがい!
 夜も開いたままのほうが、これでみると、いいのです。

 私がこだわったのは、あることを思い出したからです。
 もう10年ちかくまえ。
 大同の、環境林センターの技術者が、遠田宏先生に尋ねました。
 「ビニールハウスの気温のほうが、
 外気の温度より、低くなるのは、どうしてでしょう?」
 先生は、いっしょうけんめい、考えているようでした。
 でた結論は、放射冷却のためではないか、というもの。

 私はこのたび、遠田先生に電話をかけ、
 そのときのことを、思い出してもらいました。
 日中は、もちろん、ビニールハウスのなかの温度が高まります。
 夜間、とくに晴天の夜は、ビニール温室のなかの、空気中の温度も、
 地温も、遠赤外線のかたちで、放射されます。
 それによって、温度が下がるんですね。
 ハウスの外も、当然、放射冷却がありますけど、
 それは空気の攪乱によって、それなりに補われます。
 ところが、ハウスは、かぎられた空間ですので、
 ストレートに、温度が失われる。

 そのために、温室用のガラスとか、専用のビニールだと、
 遠赤外線の透過率を、抑えたものがあるそう。
 それによって、保温をはかるわけです。
 私の、安物の、ビニール温室には、つかわれていないでしょう。

 5月6日は夕方から曇りで、そのうち雨になりました。
 放射冷却は、あまり問題にならないでしょう。
 また、はかってみることにしました。

 5月6日   外気の温度  温室内
 19時30分   20℃    20℃
 20時45分   19℃   19.5℃
 22時00分   18.5℃   18℃
 5月7日
 00時00分   17℃    17℃
 05時00分   16℃    16℃
 06時30分   15℃    16℃
 08時00分   16℃    17℃

 夜間は、外気と、ビニール温室のなかとで、温度に差はありません。
 晴天の夜間、ビニールハウス内の温度が低くなるのは、
 放射冷却が原因だと考える、根拠になりそうですね。

 それにしても、あの「ビニール温室」、
 私が期待したような、保温効果は、少なくともこの時期、
 まったくありません。
 それどころか、時間帯によっては、外気よりずっと温度が低くなり、
 むしろ害になる、可能性があります。
 霜の害が深刻になるのは、晴天で放射冷却が激しく、
 風のない日です。
 遠赤外線の透過率の高いビニールハウスだと、
 霜にとって、「理想的」な環境を、自分で用意するようなもの。

 ビニールハウス、世界中に普及していますから、
 こんなことは、とっくにわかっていることでしょう。
 でも、私と同じように、いわば常識として、
 ハウスの保温効果を信じている人も、おられるでしょうから、
 これを書いてみました。
 ぜひ、いろいろと教えてください。
posted by koko_tayori at 15:22| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、初めまして福島県の農家です。

そうなんです!ハウス内のほうが放射冷却が進みます。
ハウス内が日中熱くなるのは太陽光からの放射熱です。
外気温よりも高いのはビニール被覆などで外気から遮断
されているので対流が妨げられているからでしょう。
熱伝導によるハウス内の空気から外気への損失も考えられますが、
太陽放射熱のほうがずっと大きいからでしょう。
私のハウスの場合、日射がなくなってから外気温よりも低くなり
ますが、深夜頃にほぼ外気温と同じくらいになります。
さらに早朝にはハウス内のほうが外気温よりも高い温度を維持
しています。
それはハウス内の地温が外の地温より高いので一定以上は
下がらないからだろうと思っています。
ハウス内の気温を下げないためにはハウス内を2重被覆するのが
効果抜群です。
さらに3重被覆の方法もあります。
その場合、外気温がマイナス20度のとき、ハウス内温度がプラス5度を保つほどです。
Posted by 福島県人 at 2012年12月22日 18:12
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。